介護コラム

多職種連携とは、恋愛なのだと思う

2025年以降を乗り切るためには、全職種・全領域総力戦。そして異業種も巻き込む。それくらいの覚悟が必要だと思っております。まぁ、乗り越えたところで、ご褒美なんかないですし、そこから先も我々現役世代の人生は続く訳ですけれども。

本連載では、私がこれまで培った実践知に基づく考察や、ビジネススキル・科学的知見なども踏まえながら、ユーザーも関係職種も皆がハッピーになれるかもしれない「連携のコツ」について、自由気ままに書き連ねようと思います。

「連携のコツを制する者は恋愛のコツを制する」となるかもしれません。それだけ、相手を慮り、気持ちよくさせることは連携を図る上で重要なスキルなのです。多分(笑)

そんなこんなで、皆様、生暖かい目で御拝読下さいませ。

多職種連携がうまくいかない理由

昨今、流行のように「チーム医療!!チーム医療!!連携!!連携!!」と言われますが、現状は、領域や職種毎で結構な壁があります。

「多職種連携は大事」「患者さん・利用者さんのために○○しましょう!!」この類の言葉も、よく聞きます。この言葉に否定的な意見を述べる方もいないでしょう。

ただ、その一方で「医師は忙しいそうで、声を掛けにくい。すぐ不機嫌になる」「リハビリスタッフの言っている言葉が難しくてよく分かりません」「看護師は介護職を下に見ている」「お願いしたのに病棟スタッフは全然動いてくれない」・・・etc。といった言葉も、同じくらいよく聞かれます。

なんなのでしょうか?この矛盾。互いに連携の重要さは分かっているはずなのに、上手くいかない現状・・・。

専門職との連携に潜む壁

それはなぜか?医療・福祉領域には、約30種の専門職がいるとされています。私は、内3職種の国家資格+αを有しておりますが、資格毎に、教育課程は勿論のこと、文化や価値観・求められる専門性等は大きく異なっているからです。

私的な経験で申せば、同じ医学的知識を学ぶ看護師と理学療法士でさえ、その内容や学習範囲に大きな違いがありました。もっと言ってしまえば、同じ資格取得を目指すにしても、養成課程が違えば質的にも量的にも学ぶ内容が変わってくるのです。

ね?つまり、「違うことが当たり前」なのです。違うことが当たり前という前提条件があるにも関わらず、そこを飛び越えていきなり「連携しましょう!!」とするので、上手くいかないのです。合コンして、すぐに「結婚してください!!」とはならないのと一緒で、物事は適切な段階を追わないといけません。余程、奇跡的に共鳴しない限り、出逢ってすぐ!!!とはいきませんよね。

ですので、初めから連携はうまくいかないことは当たり前である、と受け止めた方が気持ちは楽になります。まずは騙されたと思って、一旦「そんなもんだ」と受け止めましょう。

連携のコツは、まずは受け止めること

読者の皆様は、海外旅行に行ったことはありませんか?言葉も文化も違いますよね?例えば、水一つとっても、お金を払うことが必要な国もあれば、「水下さい」=「炭酸水下さい」→「どうぞ」→「なんで炭酸!?」となる国もあります。

国内旅行であっても、「名古屋の味噌汁、赤い!!なんで!?」「いや、僕に言われても・・・そもそも名古屋出身ではないし・・・」なんてことだって往々にしてありますよね?ないですか?僕は、昨年3回ありました。余談ですけど。

価値観や考え方、学んできた知識が違うことは覆しようのない事実です。まずは、この違いがあって当たり前という事実を受け止めることが、連携のコツを掴む前提条件なのでは?と私は思います。

そして、「れんけい」と「れんあい」が一文字しか違わないことは、きっと、神様の悪戯のせいなのだと私は思います。

愛でたし愛でたし。

次回予告

・連携阻害ランキング上位の常連「専門性」
・多くの現場スタッフはIPEを受けていない

の2本です。1か月の間に、気が変わる可能性大ですが、多職種連携というテーマからは大きく外れないよう努力致します。ふいに医療経済等の違うテーマで投稿したらごめんなさい。レールを敷かれることが苦手なのです、私。

ABOUT ME
羽田真博
介護福祉士・理学療法士・看護師、他。一般社団法人ステキ人材発掘協会理事。平成26年1月、医療総合商社 協和ケミカル株式会社入職。同年5月、訪問事業部門(キョーワ訪問看護リハビリステーション 寄り添い屋)の立ち上げを行う。3次救急病院ERから療養型病院、介護施設、在宅まで様々な領域で経験を積み重ねてきた過程で得た「見る・視る・観る・看る・診る」といった多角的な視点と、職種・領域の違いによって起こる連携上の課題を実践知として経験していることが最大の強み。多様な「み方」を用いて、臨床・共育・組織マネジメント・連携に携わっている。 弱みは、一つの領域に対する経験の浅さと、女子からの「おねだり」と「お願い」。座右の銘は、「日々是愛撫」。夢は、次世代の寄り添い屋女性スタッフに看取られること。