厚生労働省が発表した需給推計によると、2025年度には介護職員が約253万人必要になるとされています。それに対し供給の見込みは約215万人。およそ38万人の介護職員が不足する見込みです。
2025年と言えば、今の団塊の世代が75歳以上になる年。要介護者も確実に増加すると推測されています。

介護保険制度が施行された2000年以降、介護職員の数は年々増加していきました。55万人しかいなかった介護従事者は、2013年には171万人(およそ3倍)にまで増えたのです。しかし、それでも人手不足は解消されていません。
なぜ介護職員は、こんなにも人手不足に悩まされているのでしょうか?

介護職員が不足している理由

介護職員の数が需要になかなか追いつけない理由は、以下のようなものが挙げられます。

・少子高齢化によって生産年齢人口が減っている

高齢者の増加とは裏腹に、出生率は低下の一途をたどっています。
日本の年間出生数は第1次ベビーブーム期(1947~1949年)で約270万人、第2次ベビーブーム期(1971~1974年)で約210万人でした。しかし年々出生数は減少し、1984年には150万人を割りました。
1991年以降は、増減を繰り返しながら緩やかな減少傾向となっています。(参考:内閣府 平成27年版少子化社会対策白書
生まれてくる子供が減ってきたことは、日本の生産年齢人口(労働力とみなされる15~64歳の人口)にも影響を与えました。
総人口に対する生産年齢人口の割合は、1995年の69.5%をピークに年々減少しています。2025年には、58.7%まで下がるという予測も。(参考:総務省 平成24年度版情報通信白書
今、日本の働く人口そのものが減少しているのです。

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・定着率が悪い

介護職の離職率は2005年度以降 20%を下回り、ここ数年は16%台で推移しています。近年は一部の事業所の努力もあって、離職率は少しずつ全産業の平均に近づいています。(参考:介護労働安定センター 平成26年度介護労働実態調査
しかし労働に見合わない低賃金・人間関係で揉める職場環境などを理由に、介護職を辞めてしまう人はいまだに後を絶ちません。
全産業の勤続年数は平均約12年であるのに対して、福祉施設介護員は平均で約7年、ホームヘルパーは5年と短くなっています。(参考:厚生労働省 介護人材確保について

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現場に及ぼす影響

人手不足の現状や「低賃金・重労働」といったネガティブなイメージの蔓延によって、若者の介護離れが進んでいます。結果、どこの事業所も新卒者の採用が難しくなっているのが現状です。
現場で働く介護職員は、その間にも人手不足のしわ寄せがきて苦しんでいます。新人は来ない、人は辞めていく……その分だけ一人当たりの仕事量が多くなるからです。(人手不足の事業所の見分け方→こちら
景気が回復したら今いる介護職員でさえ、より高給を得られる他産業に流れてしまうかもしれません。

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2025年に向けて、政府は

厚生労働省は介護人材の確保のため、平成27年度補正予算案・平成28年度当初予算案で3つの柱で出来た対策を打ち出しています。(参考:厚生労働省 福祉・介護人材確保対策等について
その3つの柱とは、「離職した介護人材の呼び戻し」「新規参入促進」「離職防止・定着促進」です。
どのような取り組みをしていくのかをご紹介します。

1.離職した介護人材の呼び戻し

一度介護職を辞めてしまった人に対して、再就職に必要な準備金の貸付を行います。条件は1年以上介護職員としての経験があること。再就職して2年間働き続ければ、準備金の返済は全額免除されます。
また福祉人材センターに「離職した介護職員の届出」を受けるシステムを新設し、ニーズに応じた求人情報を提供するなど、再就職支援対策を強化します。

2.新規参入促進

介護職を目指す学生を増やして入学後の勉学を支援し、卒業後の介護現場への就職・定着を促進するため、学費の貸付を実施します。卒業してから一定期間内に介護業界へ就職し、5年間介護の仕事を続ければ、学費の返済は免除されます。
また全国でおよそ120万人いると言われている、介護ボランティアを行っている中高年齢者(50~64歳)に対しても介護業界への参入を促していきます。その中で働く意欲のある人を対象に、ボランティアセンター・福祉人材センター・シルバー人材センターと連携して、介護職になるための基礎知識を学ぶ研修を実施します。

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3.離職防止・定着促進

介護職員の離職理由に対して総合的な対策を実施して、離職防止・定着促進を進めていきます。医療介護基金を新たに追加して増やすことで、目標の達成を狙っています。

以下に、主な離職理由とそれに対する対策をまとめました。

理由1:結婚や育児で続けられなくなった
→子育てしながら働き続けられる環境整備のため、介護施設・事業所内の保育施設を新規開設・整備支援します。また子育て支援のため、代替職員のマッチングを実施します。
理由2:人間関係の不和、待遇の不満があった
→職場環境の改善に取り組む事業者のコンテスト・表彰の実施や、評価制度の推進を行います。優良な職場づくりに向けた取り組みを普及させていきます。
理由3:腰痛など、仕事によって身体に不調をきたした
→介護ロボットの活用を検討して開発・導入を支援します。また業務上の書類削減・ペーパーレス化によって文書量を半減。身体的負担を減らす・事務作業を効率化することで、生産性の向上を目指します。
理由4:将来性を感じられなかった
→介護人材のキャリアアップを図るため、医療的ケアの研修機会を増やし、研修機関の開設を支援します。また現役の介護職員が介護福祉士を目指すために研修を受けている間、職場をサポートする代替要員の経費を支援します。そのほかキャリアパスの整備を行う事業者への助成、新たに賃金制度を導入した事業主への支援を行います。

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人手不足は労働環境を悪化させるだけでなく、事業所の閉鎖などサービスの縮小にもつながってしまいます。賃金アップや職場環境の改善、新しい人材の参入によって、勢いのある魅力的な業界になることが望まれますね。
政府の掲げる施策がこれからどのように進められていくのか、今後も目が離せません。

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