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ストライキはするべき?介護職の待遇改善についての調査を実施

介護職の人材紹介サービス【介護のお仕事】を展開する株式会社ウェルクス(本社:東京都)は、介護のお仕事研究所の読者、介護系のSNS(Facebook、Twitter)の読者を対象に、「介護職の待遇改善のためのストライキ」に関する調査を実施しました。

概要

多くの介護職員が、給与や勤務時間などの待遇に不満を抱いています。介護士の「待遇改善」という課題は昔からあるものの、なかなか改善されません。

今は安定した待遇といったイメージのある看護師も、昔は待遇が悪くストライキを行ったことで待遇が改善された歴史があります。
看護師の増員と夜勤の制限を求めた「ニッパチ闘争」では、他の病院の看護師が保安要員(緊急時の連絡員)として闘いの支援と患者を守るために配置されました。患者や住民の協力も得て、地域共闘にまで発展していき、万全の支援体制で闘うことができました。

「ストライキ」といわれれば、介護が必要な方に対するケアが滞るのではと心配する方も多いと思います。看護の歴史では、上記のような支援体制のもと、ストライキを実施しています。

現在、冒頭で紹介したように、介護には人手不足や待遇面での不満といった社会問題があります。この社会問題に本気で向き合うなかで、どういった行動や取り組みが必要なのかを改めて社会全体で考える材料にしていただきたく、今回のアンケート実施に至りました。
アンケートでは、現場で働く介護士に「介護職の待遇改善のためのストライキや介護保険料の増額、利用者負担額の増額」に関して伺いました。

参考: 岡野孝信氏の論文『看護婦「増員・夜勤制限(ニッパチ)闘争」の特徴と歴史的意義』

調査結果

介護職の待遇改善のためのストライキに賛成ですか

「賛成」は65.4%、「反対」は34.6%となりました。

介護職の待遇改善のためのストライキに賛成

コメントの一部を紹介します。

  • 「そういう手段でもとらないと、皆見て見ぬふりをする。」
  • 「いくら改善を叫んでも変わらないから。結局、処遇改善加算が配られても個人にまで下りてこない。」
  • 「それくらいの行動をしないと危機感が伝わらない」
  • 「社会的には、介護職の低賃金は認識されているが現場からの声はあまり外に出ていないと思うから。」

介護職の待遇改善のためのストライキに反対

コメントの一部を紹介します。

  • 「今ギリギリの人数で、人数が足りないので今現在も迷惑かけてるので、利用者さんに迷惑をかけたくないです」
  • 「利用者様の命を思うと、ストライキできない。」
  • 「改善の為に訴える必要があるが、利用者に迷惑をかけるのは、介護職の人のすることではないと思うから。」
  • 「利用者、家族に迷惑かかる 生活を乱すことがわかりきっている。命に繋がる人も多い」

仮に地域住民等との協力により、入居者さんや利用者さんへのサービス提供を維持でき、大きな問題がない場合、ストライキに賛成ですか

「賛成」は85.3%、「反対」は14.7%となりました。

介護職の待遇改善のための介護保険料の引き上げに賛成ですか。(40歳以上の方に対する質問)

「賛成」は45.8%、「反対」は54.2%となりました。

介護職の待遇改善のための介護保険料の引き上げに賛成

コメントの一部を紹介します。

  • 「自分たちが賛成しないと世間は納得しない」
  • 「ある程度の引き上げは止むを得ないと思います。」
  • 「財源がなければ、介護現場の環境改善につながらないため。」
  • 「必要な財源だし、収入のある年代が払えるなら、払うべきかと。」

介護職の待遇改善のための介護保険料の引き上げに反対

コメントの一部を紹介します。

  • 「介護保険料を上げたら、只でさえきつい生活が更にきつくなりますよね?」
  • 「もっと削るところは沢山ある」
  • 「引き上げても会社だけが利益を得るから。」
  • 「介護保険料をあげるだけでは、処遇改善の原資は難しいと思う。」

待遇改善のための介護サービスの自己負担額の引き上げに賛成ですか

「賛成」は46.2%、「反対」は53.8%となりました。

待遇改善のための介護サービスの自己負担額の引き上げに賛成

コメントの一部を紹介します。

  • 「今の利用者負担が安すぎる」
  • 「介護サービスが本当に必要な方や、介護度の高い方、身体介護の自己負担は軽く、介護度の低い方や要支援の方、家事援助などのサービスの自己負担は多くなっても仕方ないと思います。」
  • 「所得面での配慮があるのであれば致し方ないと考えます」
  • 「税金だけではなく、自己負担を強いることによって悪用も減ると思うし、きちんとしたサービスを受ける権利も生まれて良いかと思う。」

待遇改善のための介護サービスの自己負担額の引き上げに反対

コメントの一部を紹介します。

  • 「今でさえ負担が大きく、介護を十分に受けられない方がいるから」
  • 「負担に耐えられる人ばかりではないので、所得の高い人からの税収で賄いたい」
  • 「経済的に困窮している人はサービスを利用しにくくなる」
  • 「介護自殺(殺人)が増える」

介護職の待遇改善について、給与よりも仕事量や勤務時間等を改善してほしいと思いますか

「はい」は44.2%、「いいえ」は55.8%となりました。

介護職の待遇改善について、給与よりも仕事量や勤務時間等を改善してほしいと思う

コメントの一部を紹介します。

  • 「サービス残業が多い」
  • 「給与が安いのに労働量が多すぎる。給与の安い業界であってもここまでの仕事量はなかなかないと思う」
  • 「ICT、IoTの促進にどんどん助成金を出して業務の簡素化を図りやすくするよう誘導してほしい。」
  • 「人員不足を解消し、余裕のある人員配置で働きたい、業務に追われ最低限のことしか行えず、流れ作業になってしまい充実感など得られない」

介護職の待遇改善について、給与よりも仕事量や勤務時間等を改善してほしいと思わない

コメントの一部を紹介します。

  • 「一番は給料。その次に勤務時間などの調整をしてほしい。」
  • 「仕事量や勤務時間が、他業種と比べて劣悪とは思わない。人手不足なだけだと思うから。」
  • 「どれも外せない。」
  • 「慢性的な人員不足の原因は給与水準が低く、更に給与上昇率が低いためすぐに転職してしまう。仕事量・時間も重要だが、緊急の改善しなければならない課題は給与面の改善と思います。」

まとめ

半数以上の方が「待遇改善のためのストライキをすべき」と考えているようです。「ストライキをすべきではない」と考えている方も、ほとんどは自分の待遇を改善したいが、利用者さんの生活や安全を考慮すると反対せざるを得ない、という結果でした。

アンケートにご協力いただきましたみなさま、貴重なご意見をありがとうございました。

  • アンケート調査概要
  • ・調査期間:2017年12月6日(水)~12月20日(水)
  • ・調査対象:介護のお仕事の読者のほか、介護系のSNS(facebookページ、twitter)の読者となっている全国の男女152名
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